イーストミーツウェスト

シオシオのぱぁ

岡本喜八監督念願の西部劇である。たまりにたまった物をぶち込んでさぞかし凄い娯楽大作になると思っていたが、これが見事に面白くない。東宝時代の西部劇風時代劇にはるかに及ばないのである。正直、『独立愚連隊」や「戦国野郎」に負けている。こちらの方がはるかに面白いし、西部劇スピリッツにあふれていると思う。
失敗した一番の理由は、監督の嗜好にあるとしか考えられない。ジョン・フォード監督を敬愛している喜八監督だから本場アメリカの西部劇を狙っているのは間違いない。これがいかんのである。矛盾するようだけど我々が観たいのはマカロニウェスタンなのである。出血量の足りない西部劇を誰が観に行くものか。いつもの変化球勝負をせず、直球勝負なのもつまらなくした原因だろう。つまり、「味方のなかに敵がいて、敵の中に味方がいる」と言う喜八監督お得意の展開ではないのが観ていて非常に物足りないのである。役者で言えば「中谷一郎」に相当する人物がいない。中谷一郎と言えば喜八監督の映画ではいつも敵か味方か分からない存在として描かれ、それが一種のサスペンスになっていたが「イーストミーツウェスト」ではそれが全く無いのである。
岡本喜八監督は大好きな大監督だがこの作品だけは好きになれない。竹中直人真田広之は良い演技しているだけに残念である。