「新・耳袋」な話

観なきゃ良かった

シックス・センス」を観たせいでは無いだろうが、妙な体験をしたので忘れない内に書いておこう。
俺は極度に目が悪いので眼鏡をいつも掛けて生活している。寝るときは当然外して寝る。
昨夜も布団に入り、「新・耳袋」の6巻を読んでいた。眠気が薄いときは文字を追っていると眠くなる性質なので別に本は何でも良かったのだが、「新・耳袋」を読んだのがまずかったのだろうか?
さて眠くなり、本をたたみ眼鏡を外し、何時もの置き場所で有るステレオアンプの上に置き、明かりを切った。
布団を敷いた位置で枕元の左側の直ぐ手の届く位置にアンプが有る。俺は何時もそのアンプの上に眼鏡を置いて寝る。どんなに酔っ払っていても必ずそこに置いて寝るのだ。偶に夜中にトイレに起きる時があるが、また布団に入る時は必ず眼鏡はアンプの上だ。
今朝眼が覚め、眼鏡を取ろうとアンプに手を回すが、たたんで置いたはずの眼鏡が無い。直ぐ手の届く位置に置いて有るはずの眼鏡が無い。奥に押し込んでしまったのかな? と思い手をグッと伸ばすがやはり無い。
代えの眼鏡はあるが、何時も使っている眼鏡が有るべき所に無いのですっかり焦ってしまった。昨夜の寝る前の行動を思い出してみたが、何時もと違う行動はしてない。
「え〜っ、何処にいったんだ?」と思いながら枕元の周りを手で確認してみる。丁度枕元の右側に手を持ってゆくとそこに堅い物が有る。「えっ!?」と思い顔を近づけてみると、絨毯の上にたたんだ状態の眼鏡が有る。
「ああ、良かった」と思いながら眼鏡を掛ける。
「でも、一体誰が絨毯の上に置いたんだろう?」
ふと弟の話を思い出した。
小学校を卒業するまでこの部屋は弟と一緒だった。弟はあまり詳しくは語らないが結構「見やすい」体質で何度か「見た物」の話を聴いたことが有る。ごく、最近になって「兄貴を怖がらせると悪いと思って…」と前置きをしてこの部屋で「見た物」の話をしてくれた。
弟が夜中に眼が覚め、ふとカーテンに目をやると男の顔がある。カーテンの模様の中に男の生首が浮いている。ただ浮いているだけでそれ以外に何かあったと言う訳ではないが、何度か目撃したと言う。
その話を思い出し部屋は明るいと言うのに独り鳥肌を立てた。