ニッポン無責任時代

LDとチト違うデザイン

問答無用の大傑作ですが、続編の「ニッポン無責任野郎」と続けて鑑賞すると面白みも倍増。それこそ「椿三十郎」のラストの衝撃が味わえるのだ。
無責任時代」の平均(たいら ひとし)は、行動だけを見ると実は完全ジコチューの悪いヤツだと解るが、邦画の常識を覆す異常なキャラクターなので、その勢いに呑まれてしまいその部分に中々気が付かない。あれよあれよと話が進んで行くので、後半で平均の性格が変更されたのにも中々気が付かない。最初観たときは「なんて面白い映画だ!」と単純に感心したが、LDで何度も観る内、やっと平均が悪いヤツだと気が付いた有様。もう少し頭が良ければ、初見で解ったはずなのにな。
後半で若いカップルを応援する良い人になってしまったのが残念でならないが、前半のトーンのまま作劇を続けたら収拾つかなくなるもんな。でもそれを観たい気もするが。
この「実は悪いヤツ」と言うのが東宝上層部で問題になったらしく、大ヒットはしたものの、会社としてはストレスが有ったらしい。2作目の「〜野郎」ではキャラは継承しているが、悪い野郎だと言う部分はゴッソリ削られた。
自分のやりたい様にやる、てのは、キューブリックの「時計じかけのオレンジ」の主役、マルコム・マクダウェルと全く同じだよな。どちらも周りの迷惑などこれっぽっちも気にもせず反省もしない。それどころかラストでは二人とも出世してる!
仕様
LDは2種類有る。初版のLDはシネスコだが若干左右が切られている。なお東宝が限定発売でLDの商売を展開していたときは、クレージーキャッツ物の映画は「ニッポン無責任時代」しか発売されなかった。シネスコ・モノラル・CX無し。
再販されたLDは「東宝ゴクラク座」と言うレーベル?での再販。このシリーズは資料性を大事にしているのでライナーは詳細だし、ジャケットは必ず公開当時のポスターにしてある。帯付・シネスコ・デジタルモノラル・CX。初版のLDより天地の黒味の幅が広い。画質はあまり変わらない印象。音質は旧LDと同様に光学トラックからのマスターなので高域が詰まった感じの何時もの音だ。