春来る鬼

DVDにしてくれ〜!

超人ハルク」が来るンじゃないぞ。「鬼喰う鬼」てバカ映画があるが、アキラに失礼だろう(笑)

小林旭の監督した10億もかけた大作映画。アキラと言えば「快傑ズバット」の原型である「渡り鳥」シリーズが有名であるが、この映画の内容にはカスリもしないので注意。しかし、アキラは日活全盛の頃から何度も会社にこの企画を提出したそうだが会社は何時も却下したと言う。確かに当時のアキラのイメージと全く繋がらない内容なので、商売として却下したのは無理もないと思うけど。でも60年代初期にもしこの企画が通っていたらどんな仕上がりになったか興味ある。
映画評論家の佐藤利明氏が日活当時のアキラを網羅した本にもたった一行触れられているだけである。じゃあどんな話なのかと言うと、思いっきり簡単に言うと「民俗学通過儀礼の話」なのです。だから「面白いのか?」と訊ねられたら、「ンー」となってしまうけど、黒澤ファンならこの映画は絶対見逃せないので、まあ騙されたと思って観て下さい。
最近のアキラの言葉で「自分では解りきっている事が画面に出ていなかった」と謙虚な姿勢を見せたけど、監督演出力はかなりのもの。映画の終わりまで一時もダレル事無く見せるのはかなりの才能だと思う。何でコケたんだろう?


その黒澤ファンが見逃せない理由は、まず脚本が「菊島隆三」、美術は「村木与四郎」、音楽は「佐藤勝」です。そして、主人公を導く「赤ひげ」的役で「三船敏郎」が出演してます。三船はやや老いた漁師で、アゴには堂々たるヒゲを生やし、嬉しい事に赤ひげ同様にヒゲをさするクセがまんま出てきます
主人公の男女二人は駆け落ちして三船らが住む浜に流れ着くのですが、この浜は閉鎖的でよそ者を受付ない閉鎖した村なのです。駆け落ちの時舟が転覆して「たまたま」この浜に流れ着いた事を考慮し、村長は「本来ならブッ殺す」所だが、主人公の「さぶろうし」が、長が命じた試練をクリアしたら女共々居住を許そうと言う。
全編に渡って生命力が強調されるがアキラ監督は「死」の方も同等に描きたかったたらしい。でも主人公がマッチョな為、彼の躍動する肉体が映画から「死」を大幅に遠ざけた結果となった。俺はそれで良いと思ったね、この重量感と言い、生命力の強調と言い、単純に感動させる内容と言い、当時の黒澤監督の映画から抜けてしまったものがこの映画にはある。断言する!!(笑)
仕様
レンタル落ち中古品を350円で購入。非常に残念だがビデオしか発売されてない。オマケにコピーガードが強すぎて画質が悪い。  
佐藤勝のエンドタイトルの曲は必聴。SLCが出した「佐藤勝作品集」に一曲収録されているので興味のある人は、中古屋を死ぬほど探して下さい。多分出てこないと思いますけど(笑)


たのみこむ」にリクエストしてみるか…