エディ・マーフィー
の「ニカッ」とした笑顔を見ると簡単な軽快なシンセの響きで「アクセル刑事のテーマ」が自然と聴こえてくる。スコアを書いたハロルド・フォルタメイヤーは、初期のブラッカイマー映画の重要な音楽担当者だ。「トップ・ガン」のスコアも彼だが、よ〜く聴いてみると垂れ流しのスコアではなく、一応フィルムスコアリングをしている*1。
彼やジョルジオ・モロダーと言ったセンセサイザーで映画音楽に乗り込んできた連中のほとんどは、近年の映画からは姿を消してしまった。理由は簡単である、管弦楽譜(あるいは管弦楽を想定した)を恐らく書けないからだ。「スターウォーズ」のジョン・ウイリアムスショックは未だに尾を引いていて、今の業界を見渡してもシンセで勝負しようとする作曲家はマズいない*2。御大モーリス・「にっかつ沈没→落陽」・ジャールもたまにシンセのみのスコアを書くが、決まって面白くないスコアだしね。
そんな状況でシルベスター・リベイ*3は、ひょっとしたら化けていたかもしれない人だ。ヒットコメディの「ホット・ショット」で彼は中規模ながらオーケストラスコアを書いている。俺は彼もシンセしか出来ない人だと思っていたので、サントラを聴いた時はビックリしたが、オケを使った理由に思い当たる節がない訳でもない。
まあ、当てずっぽうな理由なんだけど、「エアウルフ」が日本でも放送中の頃、キングレコードからサントラ*4が発売された。いやサントラと言うよりカバーバージョンなんだが、編曲担当者の配慮もあり原曲のイメージを壊さない仕上がりになっている*5。6曲収録のミニLPの中で一曲だけフルオーケストラで演奏された曲があるが、アレンジが素晴らしく、単調なオリジナル曲が見事クラシック曲になっている*6。ひょっとしたらリベイ、このLPを聴いたのかもしれない。見事にオーケストレーションされた自分のオリジナル曲を聴いて奮い立ったのではないだろうか?
残念ながら「ホット・ショット」以降、映画音楽で彼の名前を見ることは無い。今どんな仕事をしているンだろう。