蜘蛛巣城

カッコ良いクライテリオン版DVD


土砂降りの雨の中、何時もは勝手知ったる森で迷う三船と千秋。戦の疲れと迷いの果て、浪花千枝子演ずる妖怪が(何故か)糸巻している庵にたどり着く。何とも場違いで居る筈の無い婆さんに二人は内心恐怖を感じる。そもそも「糸巻き」の行為に何か意味があるのか? 妖怪は二人に対し立身出世のメデタイ予言をするけど、妖怪の素振りからはメデタイとは全く感じられない演出。巨匠は流石だね、ホラー描写も全然OKッス。
三船と千秋が妖怪と問答をしていると、頃合を見計らった様に妖怪がスッと立ち上がり、当然の如く風が吹き妖怪の着物が中に舞う。と!妖怪は消えてしまう。単純な編集によるトリックだが効果絶大で本当に驚かされる。ギョッ!とした二人を映しカットが変わり、さっきまで妖怪が居た庵に三船と千秋が歩いて進む後ろ姿。更に二・三歩前に進む二人をキャメラも追う。何処に言ったと探す二人が振り返りまたギョッ! キャメラが後にスーと引き、そこにあったハズの庵が跡形も無くただの荒地になっている。ウマイ!! キャメラが二人を追い一緒に進んだ時、キャメラの陰にいた助監督どもが大急ぎで庵のセットを剥がしているのが目に浮かぶ(笑)
黒澤監督、何でホラー撮らなかったンスか? ポーの「アッシャー家の崩壊」をロシアで撮る予定が有ったと聞いたけど、これってホラーなンですかね。
仕様
東宝ビデオ発売。モノクロ・デジタルモノラル・CX・二枚組三面。例によってバカ高いボックス仕様幸い俺は千円で買った。音は問題有り。妖怪や亡霊の喋る台詞が判らないと言うか聞き取れないので、鑑賞しながら脚本読まなきゃならんのはマズイでしょ(笑) ストーリーの理解にまで影響が有る音質てのはねぇ。多分黒澤監督も解っていたハズだけど。黒澤監督はかなり早い段階で三本以上のトラックを使うステレオ音響の導入を力説していたと言う。実際に4chステレオを導入したのは「天国と地獄」から。(「椿三十郎」を大劇場用に4chプリントを創ったと言う説もある) 画質はどうでしょう? 思った程コントラストがキツク無く見易いので拍子抜け。

えーとですね、黒澤監督のLDが1枚1050円で売ってるんですけど、欲しい人いますかな?
タイトルは「天国と地獄」「赤ひげ」「椿三十郎」「ドデスカデン」「酔いどれ天使」「影武者」の6枚。帯はありません。