釈迦 

70ミリ二作目「秦・始皇帝」

つまらなくはないが、面白くもない。後半、カツシンが映画を乗っ取った
さあ皆さんお待ちかね、大映70mm超大作「釈迦」の登場です。技術力で(かつては)邦画トップの大映が、その高画質ぶりに惚れ込み、高い金出して買ったものの、使い勝手が悪く、フィルムの無駄が多くゴミ扱いホコリ被っていたビスタジョンキャメラを復活、見事日本初の70mm映画を完成させました。ビスタヴィジョンはフィルムを「横」に流すので(だから「パーフォレーション」は上下になる)乱暴に言えばスチールキャメラと同じ。撮影時に左右をユルメに圧縮するアナモレンズを取り付けると、シネスコ程ではないが縦に細長い画像で焼きこまれる。フィルムに焼きこむ時も左右に広げるアナモレンズを使うのでデカイキャメラ使用しなくとも70mm映画が出来ると言う訳(いかにも映画技術に詳しい様に装ってみました) 元々大映の画質は定評があり、質感や匂い立つツヤ、色の表現は他社を凌駕し、いやそれどころか技術が発達した現在においても再現不可能な「画」である。
しっかし、このLD、無茶苦茶高かったンだよ。2枚組3面で済む映画なのに豪華なボックス仕様、パンフレットも納得行く情報量で史料価値大だが、4面にある特撮ハイライトは正直言って要りません。いくら伊福部昭のスコアがドル・サラで聴けるとは言え、一万五千円もするLDをホイホイ買えるユーザーなんてそうそういるはずもなく、欲しくても買えなかった連中が山ほどいた、と思う。せめて本編だけの安価版出してくれたら良かったのにね。指くわえるしかなかったマニアは、SLC(倒産したレコード会社)が発売した伊福部サントラ集で我慢したそうな。でもSE台詞込みなので余計映画そのものに興味が湧く意地悪なサントラであるよ(笑) 
なぜ音楽のみで収録出来なかったのか? 推察するに、最終ダビングをロンドンで行なう為に必要素材を国外に持ち出したのが最大の理由だと考えられる。ロンドンのRCAでダビングしたと読んだ記憶があるから、誰もイジッテなければそのスタジオに音素材がそっくり残っているはず(と希望的観測)
仕様
イオニア発売。2枚組4面、4面は特典映像収録。シネスコサイズ・デジタルステレオ・ドルビーサラウンド。アナログチャンネルには英語吹き替え収録。画質は絶品、上にも書いたが再現不可能。音質は同時期の東宝の4ch音源よりやや良いと思う。音楽は十分サラウンドするがSE&台詞には広がりや移動を感じない、ノウハウ無いくせにいきなり6chステレオを創ろうとした無理が出た為か?
現在DVD未発売、諦めて香港か台湾のDVDを購入しよう。