天国と地獄

三船の顔を大胆に切り取ったデザイン

黒澤監督の輸入LDと言えばクライテリオンコレクションの物が有名だ。*1DVDに切り替わっても相変らずヘタすると本家東宝のDVDより質の高い商品を発売するから油断出来ない*2
さて「天国と地獄」だが、俺の知っている範囲でクライテリオン以外からLDが発売された唯一の映画である。「パシフィック・アーツ・ビデオ」*3と言う会社が発売した東西の映画古典を集めたシリーズ(らしい) ジャケットも御覧の通りカッコイイ仕上がりで、本家東宝版とはかなり違ったイメージ。後に出たクライテリオン版のLD&DVDのジャケットも地味に見える。
さて中身だが、勿論ノーカット・ワイドスクリーンである。ただ輸出用のプリントを使った為か、オリジナルと異なる部分がある。
もっとも違うのはメインタイトルで、英語の字幕に変更されているが、よく見るとフィルムへ焼き込んだのではなく、ビデオ編集の工程で電気的に合成した事に気が付く。だから違和感をチョッと感じる部分でもある。
モノクロ映像は、これは俺のモニターのせいかもしれないがやや青みがかっている。まあ、それほど不自然ではないが。傷やショック等の補正はしていないが画質は健闘していると思う。
意外なのは音で、聴こえてくるのはフィルム・オプチカルの詰まった響きでない。若干聴こえてくる「サー」とか「ブーン」のハミング音? 時々入る「ブツッ」などのノイズは古いカセットテープを思い起こす。磁気テープ素材を使っているのかも? 昔の東宝は海外に輸出する映画には、台詞・効果音・音楽を分離した状態の4チャンネルテープを作って対象国にフィルムと一緒に送ったそうだから、もしかしたらそれを使ったのかもしれない。このLDを観た後にクライテリオンのDVD*4を観ると音に違和感がある。クライテリオンはフィルム・オプチカルトラックを使ったのかもしれない。
ワイドのシネスコ画面は左右が若干切られており、画面の両端にいる三船と三橋が画面から切れて見えなくなるカットがある。気のせいかもしれないが上下もほんの少しだが切られている様に感じる。

仕様
モノクロ・シネスコ・デジタルモノラル・CX。CD VIDEOのロゴマークがあるがリアルタイムの時間表示しか出来ない。2枚組3面。4面部分は白のプラスチックで完全に隠され再生出来ない様にしてある。



*1:アメリカ以外、例えばヨーロッパで黒澤監督のLDが出ていたのかは資料が全く無いので判らない。あるかもしれないが何とも言えない

*2:が、金が無いので買えない(笑

*3:実際の発売は「イメージ・エンターテイメント」と言うビデオ会社

*4:残念だがモノラル